資料

万景峰号入港に関する平山新潟県知事宛質問状、及び回答書
 

新潟西港に北朝鮮の万景峰号が当たり前のように入港を続けている。新潟県は岸壁使用許可をその都度、遅滞なく与えている。平山征夫新潟県知事は2003年12月10日の県議会で、万景峰号を通じて新潟県のNGOが北朝鮮の託児施設などに支援米を送っていることに対し、「拉致被害者や国民感情を考えれば理解しがたい」と発言した。私たちからすると「万景峰号が当たり前のように入港・出港を繰り返していることこそ理解しがたい」のである。さらに言えば、万景峰号に対して格別の便宜を図っているとさえ思えてならない。7月には県条例を改正し「知事の権限で接岸許可を出さないことができる」としたが、それを適用するそぶりは全く見えない。国会議員への法案成立へ向けての働きかけと共に、当該自治体首長への働きかけも重要である。

2003年11月末、大阪府在住の有志が新潟県に赴いて「万景峰号入港に関する質問状」を平山県知事宛に提出した。それまでにも新潟県港湾課からの回答は得ていたが、今回は平山県知事自らの回答を求めた。参考資料として「質問状」と「回答書」を全文掲載する。尚、住所・氏名等は伏せ字にしてあるが、実際の質問状ではもちろん本名・現住所を記載している。

万景峰号に関しては「万景峰号の入港を阻止する会」の本里会長がこれまで数回に渡って平山県知事に質問書を送っている。その全文は下記HPに掲載されています。こちらも合わせてご覧下さい。
http://www.geocities.co.jp/WallStreet-Bull/8940/

 

 

 

質問状


   新潟県知事 平山 征夫殿


                            大阪府○○市○○○○○○  
                                 質問者氏名記載  
                             Tel.Fax ** *** ****  


 晩秋の候 貴殿におかれましては益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。
 9月下旬に、○○課の○○氏を介し、平山知事宛てに質問をさせていただきました。
そのお返事を私共の要望通り、書面で戴きありがとうございました。

 いくつかどうしても知事のお考えをお聞きしたく思い、再度質問させていただきます。なお、前回は知事からのお返事が欲しかったのですが、戴きましたのは港湾空港局長 武藤 克己氏名義のものでした。

 最初に含みおきいただきたいのですが、「ご理解をお願いいたします。」と言われても、理解できないので、再度質問させていただきます。

(1) 知事は、拉致事件を県民の安全に関わる重大な事件と認識され、真相解明や早期帰国のための政府への要請、県民世論の喚起に努めていらっしゃることはよく理解できました。それらの実現のため、また再発防止のためには、新潟県知事として、どのような取り組みをされているのか、具体的にお答えください。

(2) バンケイホウ号は、国際法で禁止されている麻薬、偽札、ミサイル部品を運んだ、拉致の指令もこの船から出されたとの証言があります。また、国際法では性善説が根底にあり、「海運自由の法則」が取られておりますが、これは「無害でない」と判断される船舶には適用されないと思います。知事は、バンケイホウ号が「無害な船」だとお考えでしょうか?

(3) 7月に改正されました、新潟県の条例では「知事の権限で接岸許可を出さないことができる」というものですが、保険に未加入の船舶もこれに該当します。バンケイホウ号は未加入であるにもかかわらず、依然として入港しているのは、何故ですか?

(4) 保険に未加入の船舶に、代理保証人をたててまで入港させるのは何故ですか?

(5) 代理保証人を立てることで、保険未加入を相殺できる権限は、誰にあるのですか?

(6) またそれは、どこに明記されていますか?

(7) 先日、全国一斉に衆議院立候補者を対象としたアンケートが実施されました。大変お手数ですが、同じ物を同封いたしましたので、お目通しのうえご記入いただきたく思います。


回答は、11月28日までに、郵送もしくはFaxにてお願いいたします。
ご公務の都合で回答が遅れる場合は、その旨のご連絡をFAXにて戴きたく存じます。
またこの回答はネット上で公開する可能性もあることをお伝えしておきます。

 

 

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上記の質問状に対しての平山新潟県知事からの回答は以下の通り
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  (質問者氏名) 様

平成15年12月5日  
     
                     新潟県知事 平山 征夫  


 拉致問題等に関するご質問について回答致します。

(1) 拉致問題の早期解決に向けての知事としての取り組みについて再度お答えします。

 拉致問題は、国家主権を侵害する重大な人権問題であることは前回も記したとおりであり、この問題は、基本的には国が責任を持って解決を図らねばならない問題と考えております。従いまして知事の立場としては、国に対して適切な対応を求めることが何よりも重要な取り組みであると考え、これまでも国に対して再三にわたり働きかけをしてきたところです。しかし何の進展もないまま1年が経過してしまったことは誠に遺憾であり、国もこの事態を重大に受け止めるべきと考えますので、被害者や家族の目に見える形で毅然とした積極的な対応をするよう重ねて要請しているところです。

 また、県民がこの問題に関心を持ち続け、集会や署名活動に参加して問題解決を訴えることが、惹いては国を動かす力となり、北朝鮮に対する圧力となるとともに、再発防止策にもなることから、県民に対する意識啓発に積極的に取り組んでいるところです。これまでも、私自身様々な集会に時間の許す限り参加して、県民の皆さんに直接呼びかけを行ってきたところですし、横断幕の掲出やポスターの作成配布、県の広報誌や新聞、テレビ等を通じて啓発を行っているところであり、今後も継続していきたいと考えています。


(2)〜(6)万景峰号の入港についてお答えします。

 「海運自由の原則」についてでありますが、国際的にも同原則は明らかに犯罪船である場合を除き適用されるとされており、私としましても同様の認識をしております。

 また新潟県港湾管理条例についてでありますが、このたびの条例改正は、安全上問題のある船舶の入港を制限する目的で行われたものであり、PSCによる改善命令を受けて改善された船舶及び改善命令を受けていない船舶については、安全性についてクリアーしているとみられるため原則として保険加入の有無を問わずに岸壁使用許可を行うこととしております。これは、港湾振興に配慮しながら、安全保障のために限定的に運用しているものであり、今後も引き続き港湾関係者と調整を図りながら適正な運用に努めてまいりたいと考えております。

 なお、同条例におきましては、規則第2条の3第2項により、「保険契約等船舶の事故に基づく損害賠償その他の請求に対する義務の履行を担保する契約で知事が認める契約を締結していない者」について許可を行わないことができることとされておりますが、万景峰号につきましては、船主責任保険に加入をしているものの、内容を審査したところPSCをクリアーしていない状況下で十分なレベルの保険ではなかったことから適正と認められなかったため、損害担保契約を締結したものであります。


(7) アンケートの内容についてお答えします。

1、北朝鮮による日本人拉致をテロと認識するかどうかについて。
  国内法の中でテロが定義されている法律はないが、北朝鮮による拉致は、国民の生命と安全に大きな脅威をもたらしたもので、テロと認識している。
     
2、拉致問題解決の手段として経済制裁を行うことを可能とするための法整備について。
  (A) 外国為替法の改正について
    経済制裁を行うことを可能とする法律の整備は、拉致問題解決の手段として用意しておくことが必要であると考える。発動にあたっては、この手段が効果を発する時期かどうかを見極める等、十分検討する必要がある。
  (B) 特定船舶入港制限を定める新法の制定について
    保安上の問題がある場合の外国船の入港は規制する必要があると考え、新潟県としても国に対して強く要請している。
     
     

 今後も、拉致問題の早期解決並びに入港に関する厳正な検査態勢の継続や入港規制の法整備など、毅然とした対応を国に働きかけるなど、新潟県としてできる限りの努力をしていきたいと考えておりますので、ご理解をいただきたいと思います。