万景峰号が8月25日に新潟港に入港しそうである。
朝鮮総連は『思えば思うほど、祖国を遠く離れ、異国の地で暮らす在日同胞が祖国を往来する人道主義的な航路を妨げるために、戦時状態にでもみられるぞっとするような恐怖の雰囲気と非常事態をかもし出し、「万景峰92」号に対するありとあらゆる虚偽や中傷で日本の国民感情を極度に刺激し狂奔した日本の右翼反動勢力に対して、こみ上げるような民族的義憤と憤激を禁じえない。』などと、人道や人権を口にしている。
お笑いである。
無知なマスコミはだませても「在日同胞」はだませないと言う在日朝鮮人であるRENK李英和氏の6月(万景峰号の入稿を阻止した時)のサピオの記事を抜粋して掲載しておく。
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万景峰号による祖国訪問は在日朝鮮人にとって肉体的、精神的「拷問」である独裁者が口にする人道や人権など「お笑い草」である。だが、日本の一部メディ
アには「効能」が見込める。朝鮮総連は「談話」でこう述べている。
「祖国訪問を切実に望んでいた多くの在日同胞と学生たちはいま、憤慨を禁じ得
ないでいる。〔中略〕朝鮮総連と在日同胞の祖国との絆を断ち切ろうとする新た
な政治的抑圧として、民族的怒りをもって強く抗論する」
要するに、万景峰号運行は「人道主義的事業」であり、入港阻止は「重大な人権
侵害」にあたると非難する。、
日本マスコミの「泣き所」をみごとに衝いている。事実、「唯一の親族訪問の
ルートが閉ざされた」「人道上の問題が残る」などと報じるメディアもある。だ
が、無知なマスコミは欺けても、実情を知り尽くした「在日同胞」は騙せない。
この種の報道を見るにつけ、私はそれこそ「憤慨を禁じえない」。祖国訪問(親
族訪問)は「人道」や「人権」とは程遠いのが実態だ。万景峰号での訪問は、精
神的にも物理的にも「拷問」である。
親族訪問で万景峰号を「唯一の航路」にしているのは日本政府ではない。張本
人は金正日と朝鮮総連である。在日朝鮮人は空路での親族訪問を切望している。
なぜ空路での祖国訪問ができないのか 労働党幹部や朝鮮総連幹部と違い、在日朝鮮人は日々の仕事と生活に忙しい。
なんとかやりくりして、ぎりぎりの日程で親族訪問に出向く。それをわざわざ
新潟港から数日も掛けて定期船で行く。時代錯誤も甚だしい旅事情である。万
景峰号は設計ミスで船体が不安定だ。すこしの波でも船体が大きく揺れ、乗客
は船酔いに悩まされる。体調を崩すお年寄りや子供もすくなくない。台風でも
ないのにしばしば欠航するのはそのせいだ。
だから、特別なコネのある一部の人は、高額の賄賂を払って帰路に飛行機を使
う。飛行機は過2便で北京回りの航路がある。月2便の万景峰号よりはるかに
便利だ。本当なら、親族訪問の在日朝鮮人は全員がこの空路で往復したい。大
幅に時間が節約できるし、団体旅行で格安チケットを買えば、万景峰号より安
上がりだ。同船の料金はべらぼうに高い。ホテル代など全費用込みで20万円
を超える。荷物の運送料も異常に高い。ミカン箱大のダンボール箱1個につき
7500円もする。万景峰号を「唯一のルート」にする独占商法で、金正日と朝
鮮総連は暴利をむさぼっている。万景峰号は精神的にも拷問である。そもそ
も、北朝鮮が空路を認めないのは政治的理由からだ。密封状態の船内では、引
率の朝鮮総連の幹部や船員に化けた秘密警察の要員が、親族訪問団の言動に常
時日を光らせている。船内ホールでは講話や映画で「洗脳教育」を施す。とこ
ろが、飛行機ではそれができない。親族訪問を隠れみのに、怪しげな物品を運
んだり、工作員による船内指導もできなくなる。だから、空路での親族訪問を
禁じている。実際、親族訪問以外の在日朝鮮人は主に飛行機を利用している。
公式行事に参加する朝鮮総連幹部や大物商工人などである。上述の記者会見
で、朝鮮総連の南昇祐副議長は「急を要する人は飛行機を利用する」と答えて
いる。「語るに落ちる」とはこのことだ。朝鮮総連の幹部連中より、親族訪問
の在日朝鮮人のほうがよほど「急を要する」はずである。
親族訪問の在日朝鮮人にとって、北京回りの空路が実現すれば、せめてもの
「癒し」になる。親族訪問は辛い。いつ終わるとも知れない仕送りに、在日朝
鮮人は疲れ果てる。もちろん親族には会いたい。だが、「会うのが辛い」のが
現実である。2週間ほどの訪問で、親族に会えるのはわずか2日ほどだ。しか
もその問に親族の惨めな暮らしぶりを目の当たりにして憤る。元山港では物乞
いの浮浪児たちが群がり、それを当局の案内人が殴り倒して追い払う。そんな
光景に在日朝鮮人の心はさらに傷つく。缶詰め状態の船旅では、ささくれ立っ
た心は癒されない。北京回りの空路なら、せめて帰路に観光でもして「癒し」
が得られる。
南副議長は万景峰号による祖国往来を「純粋な人道主義任務」と言う。だが、
在日朝鮮人にとってほ同船自体が「人道無視」と「人権侵害」の象徴と映る。
今回の入港断念(入港阻止)について、「これで空路での訪問の通が開けるか
もしれない」と密かに期待する在日朝鮮人は多い。人道や人権を口にするのな
ら、金正日と朝鮮総連は、一刻も早く空路での自由な親族訪問を認めるべきで
ある。
万景峰号は金正日にとっては「宝船」だが、在日朝鮮人にとっては「海賊船」
である。それでも、朝鮮総連は「同船の正常な巡航を保障すべき」(同上)と
日本政府に要求する。そうであるなら、私から軌鮮総連に重要な提案をした
い。
金正日と朝鮮総連は、国と組織を挙げて、「第3次帰国運動」を開始すること
である。そのための「帰国船」としてなら、万景峰号の「正常な運航」を妨げ
る人道上の理由はなにもない。ただし、条件が付く。「人道と人道の交換」
で、拉致被害者とその家族全員、そして政治犯と亡命希望者をかならず来せて
来ることだ。
李英和氏 (SAPIO 2003.7.9より抜粋)