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 BOOK : 蓮池透さん著「奪還 第二章」発売
        投稿者 trycomp 投稿日時 2005-2-19 23:45:25 (2145 ヒット)
蓮池透さんの『奪還 第二章 終わらざる闘い』が発売されました。
Amazonでは現時点でまだ「発送可能時期:ただいま予約受付中です。」となっていますが、3日ほど前に予約注文した私の所に本日朝、届いていますので、もう実質的には「24時間以内発送扱い」だと思われます。

『奪還 第二章』から一節。

意志の通らない国

 薫から聞いた話で北朝鮮という国を最もよく現していると思ったのが、彼らが日本に帰国する少し前の出来事です。
「お前たちがこの国に来た理由を考えろ」
 北朝鮮の指導員は、二人に向かってそう言ったのだそうです。つまり、拉致されたのではなく、別な何かの理由で北朝鮮に来たのだというシナリオを、自分たちで考え出せというわけです。
 もちろん、それは北朝鮮側が拉致を認める以前の話で、彼らは被害者の家族を呼びつける算段をしていたのです。行方不明と言われる人たちを探してみたら見つかったので、会いたければ北朝鮮までやって来いーそう言って北朝鮮に来させて、感動の対面を演出して、拉致をうやむやにしようとしたのでしょう。
 そのためには、薫たちが北朝鮮にいる理由が必要で、それを考えろという話でした。しかし、そんなことを突然言われても、簡単に思い浮かぶはずがありません。仕方なく薫は、「祐木子を誘って、モーターボートに乗って海に出た。途中でエンジンが故障してストツプしてしまい、どんどん沖に流れていった。二人とも不安が募ってきて“どうしよう”と言っていたところへ、北朝鮮の船が通りかかり助けてくれた」
 というストーリーを考えて話したのだそうです。
 北朝鮮にしてみれば、作った話を強制的に覚えこませるよりも、本人が考えた話をしやべらせた方が説得力が出ると思ったのでしょう。しかし、それにしてもあまりにも陳腐な内容なので、私は呆れて、
「お前、それ本当かよ。そんな話、誰も信じるわけないだろう」と言ってしまいました。石川県の寺越武志さん、昭二さん、外雄さんたちの消息に関しては、漁船が故障し、漂流して海に投げ出されたところを北朝鮮の船に助けられたという、おそらく真実ではない話が伝えられています。それとほとんど同じじゃないか、と思いました。
 でも、弟はその話を真剣に考えて、話したと言うのです。そして、その後で実際に親に会ったらどのように振る舞うかなどといったことを、“実技練習”させられたと言っていました。
「お父さん、お母さん、心配かけてごめんなさい。会いたいです。早く北朝鮮に来てくだ
さい」とさかんに訴えていました。
 また、薫が帰国する前に北朝鮮に行った調査団が持参してきたビデオの中で、弟夫婦は
「お父さん、お母さん、心配かけてごめんなさい。会いたいです。早く北朝鮮に来て下さい」とさかんに訴えていました。
「北朝鮮に会いに来て」というのは北朝鮮側の策略で、彼らは無理矢理言わされたに違いないと思っていました。ですから、われわれはそのビデオのことは公開せず、あくまで帰国させるよう訴えたのです。そのことを薫に聞いてみると、
「あれは自分の意志で言ったんだ。部屋には日本の調査団しかいなかったが当然、盗聴されている。北朝鮮がわれわれに何と言ってほしいかなんて簡単にわかるから、その期待通りにああ言ったんだ」
 二〇〇二年の九月十七日、小泉総理の第一回訪朝の時、薫たちと総理を面会させるという話も進められていたそうです。
 もし、それが実現していたら、第二回訪朝の際のジュンキンスさんのように薫は総理に向かって「北朝鮮にいたい。両親を呼んでください」と答えていたに違いありません。
 そうなったら弟たちの帰国は実現していなかったと思うと、そら恐ろしくなります。
「訪朝は有り得ない。五人の原状回復を」とわれわれが訴えたせいもあってか、五人の不可思議な「一時帰国」が実現しました。しかし、北朝鮮はそれでもまだ「家族の訪朝を促して来る」という重荷を五人に背負わせた上で一時帰国させて、自国のために利用しようとしたのです。本当に懲りない連中だと呆れるばかりです。(P58〜P61)


奪還 第二章
価格:¥1,260 (税込)
出版社::新潮社





 
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