韓国政府が逮捕を発表した同年六月二十八日の夕刊各紙。産経は一面で「ら致した日本人になりすます 北朝鮮スパイ逮捕」と四段見出しで報じている。
産経は翌日、一面トップで「五十三年のアベック蒸発もら致? 警察庁、関連捜査を指示」とアベック失踪との関連を指摘する記事を書いた。
しかし、朝日、読売、毎日の三紙の一報はそろって社会面の左端での扱いだった。 見出しも「ら致した邦人に“変身”」(読売)とちょっとユーモラスな味つけをしたり、毎日は「身代わりスパイ逮捕」の記事のすぐ左下に同様の体裁で「身代わり受験、退学」という別の記事を載せるなど、事態の重大さを理解していなかったとも受け取れる紙面作りが目につく。 西岡氏(救う会)は「犯人が逮捕され、辛光洙が原さんになりかわって取ったパスポートや免許証、健康保険証といった動かぬ物証まであったのに、拉致被害者らは見捨てられた」という。 産経も続報は二日で途切れた。「逮捕されたのが韓国と遠く、外国の情報機関まで情報網はない。取材しづらい部分があった」

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