北朝鮮による拉致事件が我が国ではじめて報道されたのは、1980年1月7日、産経新聞の一面トップ記事「アベック三組ナゾの蒸発」で阿部雅美記者のスクープであった。
1978年の夏に福井、新潟、鹿児島で発生したカップル三組の連続失踪と富山で起きた拉致未遂事件を名指しこそしなかったものの、北朝鮮の犯行であることを示唆して報道した。
しかし、他のマスコミからは黙殺され、ほとんど話題にもならなかった。(この報道は17年後の1997年に新聞協会賞を受賞した)
それは、この当時のマスコミ界には、社会主義への共感と、「過去」の贖罪意識、朝鮮総連への恐怖感が入り混じった、「北朝鮮タブーという空気」が相当強くあったためと思われる。

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