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 News : 『せめて救われる道筋を』特定失踪者家族
        投稿者 trycomp 投稿日時 2004-5-20 10:33:36 (2156 ヒット)
首相再訪朝 揺れる『特定失踪者』家族

 「拉致」と「行方不明」の狭間(はざま)で揺れる人たちがいる。北朝鮮による拉致の可能性が疑われる「特定失踪(しっそう)者」と呼ばれる人の家族たちだ。その数は約四百人に上る。このうち十八人は、「特定失踪者問題調査会」(東京)が「拉致の可能性が高い」と独自に認定、通称「千番台リスト」の人々といわれる。しかし、政府の認定被害者十五人とは異なり、政府は公式には問題の存在を認めていない。首相再訪朝を前に家族の心境を聞いた。 (星野恵一、早川由紀美)

■『会談で名前あげて』
 「妹や特定失踪者の問題が埋もれていくのは困る。救われる道筋をつけてほしい。少しでも前に進んでほしい」。鳥取県米子市の自宅で、松本京子さん=失踪当時(29)=の兄、孟氏(57)が話す。「政府は、妹のことを北朝鮮にただしてくれるだろうか。特定失踪者は、やはり線引きされてしまうのだろうか。日朝国交正常化という問題の前で、私が首相でも、(今回は)そうするかもしれない」。心境は複雑だ。

 「編み物教室に行く」。当時、母親(81)と二人暮らしだった京子さんが、行方不明となったのは一九七七年十月二十一日夜だった。横田めぐみさん=当時(13)=が拉致される一カ月前の出来事だ。孟氏は「行方不明となった翌日、自宅近くの住民から、『京子さんを見た』という証言が寄せられた」と振り返る。

 目撃情報によると、当時の状況はこうだ。近所のビニールハウスの陰で、京子さんは男二人に囲まれていた。住民が「何をしているんだ」と声をかけると、男たちは住民の頭を殴って大けがを負わせ、約五百メートル先の和田浜海岸に向け、京子さんを連れ去った。ビニールハウスの近くには京子さんの右サンダルだけが残された。

■「拉致では」に周囲冷ややか
 家族には京子さんが失踪する心当たりがない。「サンダル履きで財布も持っていなかった。通りから見えづらい場所の出来事で、計画性を感じた」

 京子さんの自宅は、島根県との県境で、日本海に突き出す弓ケ浜の海岸近く。昔から北朝鮮籍の船が出入りする境港市の境港から車で二十分、米子市の中心街からは十分という位置関係だ。海岸沿いに黒松林が何十キロと続き、漁のための船小屋が点在する。

 「北朝鮮に連れ去られたのではないか」。孟氏がそう強く思ったのは「大韓航空機爆破事件(八七年)がきっかけだった」。家族で北朝鮮を話題にし、周囲にも話したが、反応は冷ややかだった。「身内でさえそうだった。警察も親身になってくれる人はなかった」

 転機は五、六年前に出会った「救う会」鳥取事務局長を務める妹原仁氏の存在だった。「拉致されたのでは」という妹原氏の問いかけは、孟氏にとって「最初で最後の助け舟だった。心強かった」という。

■『清津にキョウコさん』『日本語教官は斉藤さん』
 「確たる証拠、証言がなく、家族が言っているだけ」(孟氏)の状態が何年も続いた。一昨年秋の小泉首相の初訪朝にも大きな望みは持てなかったが、事態は少しずつ変わった。訪朝翌月に、クアラルンプールで行われた日朝交渉の席で、日本側が「非公式」に京子さんら三人について、北朝鮮側に問い合わせていたことが判明した。
 昨年十月には、二〇〇〇年に脱北したという北朝鮮人民軍の元大尉が、京子さんの写真を前に証言した。「一九九四年から九七年にかけ、北朝鮮の貿易港・清津の連絡所で数回見た女性が京子さんに似ている」。女性は軍幹部から「キョウコさん」と呼ばれ、元大尉が「どこから来たか」と聞くと、「日本から」と答えた、という。「その後、別ルートからも七〇年代後半に妹と似た人を見たという証言も出てきた」
 今年一月、地元・米子署は、被疑者不詳のまま国外移送目的略取容疑で提出された告発状を受理した。
 孟氏は「妹は北朝鮮にいると思う」と言った後、「でもフタを開けてみないと分からない。そこに不安がある」と揺れる心をのぞかせた。そして、こう付け加えた。「どこまで解決してくれるのか。政府の拉致認定をめぐる問題など、これまでの経緯からも簡単でないとは思う。でも、(会談で)できたら妹の名前があがってほしい」

■「時間がたてばどうされるか…」
 六八年十二月、北海道稚内市で行方不明となった斉藤裕さん=失踪当時(18)、高校三年生=の姉由美子さん(67)は「再訪朝の発表当初は、期待が大きかったが、今は五人の被害者の家族の帰国だけで終わってしまうのではないか、と不安が募る」と話す。
 裕さんは、友人宅を訪ねた後、海辺に向かったまま消息を絶った。就職も決まり、失踪の動機もなかった。
 さらに、脱北した北朝鮮の元大尉が「平壌の工作員養成機関の日本語教官が斉藤さんに間違いない」と証言、別の元北朝鮮人民軍兵士の証言など、複数の目撃情報が寄せられた。
 由美子さんは「元大尉とも会ったが、教官の男性は弟との印象が濃厚だった。しかし、政府に認定してもらえなければ、具体的な調査が進まない。確かに、特定失踪者の中には、後で国内で生存が確認された人もいるが、万一、違ってもいいではないでしょうか。時間がたてば、どうされるか分からない。早く認定して、北朝鮮側にぶつけてほしい」と訴える。
 最近、家の整理をする中で、「裕」と書いた紙袋が見つかった。「中に高校時代の裕が友人と空手のポーズを取っている写真があった。無事でいると信じている。二十二日は都内で待機します」

■所在、真相究明「一番の願い」
 七四年に新潟県新穂村(佐渡島)で失踪した同県職員の大沢孝司さん=当時(27)=の兄、昭一氏(68)は曽我ひとみさんが発見されたことで「弟も全く同じ状態でいなくなっており、拉致の可能性がある」との思いを強くし、二〇〇二年九月、県警に再捜査を要請した。「できることなら弟を連れ帰ってほしいが、三百人、四百人の失踪者の所在、真相を何とか調査してほしい。それが私たちの一番の願い」と繰り返した。
 「千番台リスト」の人々も含めた特定失踪者の拉致問題解決への道筋を、日本赤十字看護大学の小池政行教授(国際人道法)は次のように提言する。
 「北朝鮮は各機関が独自の都合で動いている。手足となって動く人はいない。日本政府が拉致問題をいいかげんに済ませたいなら、合同調査委というテーブル上だけの調査を延々と続ければいい。しかし本当に解決したいなら、政府の人間が現地に行く必要がある」
 「昨年七月、国連人権委の強制的失踪作業部会で、曽我ひとみさんの母ミヨシさんの審査申請が受理され、調査対象にすることが決定している。これを一歩進め、国連関係者と政府関係者が一緒に現地調査をするなどの形にしなければ無理だ。北朝鮮と対立関係にある米国も、北朝鮮、中立国監視委員会とともに朝鮮戦争の兵士の骨を探す作業を現地でしている。第三者を入れた枠組み作りは可能だろう」

調査会が拉致が濃厚としている18人  

水島 慎一(18)富山県 1968年 朝日町

斉藤  裕(18)北海道  68年 稚内市

今井  裕(18)青森県  69年 弘前市

大屋敷正行(16)東京都  69年静岡県沼津市

加藤久美子(22)福岡県  70年 北九州市

古川 了子(18)千葉県  73年 市原市

高  敬美(6つ)埼玉県  73年 東京都

高   剛(3つ)同上

大沢 孝司(27)新潟県  74年 現佐渡市

国広 富子(24)山口県  76年 宇部市

新木  章(29)埼玉県  77年 川口市

前上 昌輝(20)京都府  77年 旭川市

松本 京子(29)鳥取県  77年 米子市

金田 龍光(26か27)兵庫県 79年 神戸市

河嶋 功一(23)神奈川県 82年 横浜市

山本 美保(20)山梨県  84年 甲府市

秋田 美輪(21)兵庫県  85年 神戸市

佐々木悦子(27)埼玉県  91年現さいたま市

※氏名、失踪時年齢、住所、失踪時期・場所

http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20040520/mng_____tokuho__000.shtml


明日(21日)、新たに1000番台第5次リスト(12人程度)とゼロ番台8次リスト(6人程度)が発表される予定。
 
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