脱走容疑者恩赦のための請願署名始まる

北朝鮮に住んでいるとされるチャールズ・ロバート・ジェンキンス軍曹その他米兵の苦境に世論の光をあてようと家族が署名活動を開始した。

ノースカロライナ州出身のジェンキンス氏(当時24歳。現62歳)は1965年1月5日軍事境界線付近で北朝鮮に逃亡したとされている。ジェンキンス氏失踪ののち、北朝鮮行きをほのめかす母親(現在90歳で病床にある)宛ての手紙が宿舎で発見されたとされ、それが脱走の証拠とされてきた。しかし、その手紙が家族に開示されていないこともあって、ジェームズ・ハイマン氏(41歳)ほか家族はその手紙の存在すら疑問視している。ペンタゴン(国防総省)が手紙を家族に渡さなかったのは、ジェンキンス氏が脱走の疑いによって懲罰の対象となり得るためだという。ペンタゴン高官は「ジェンキンス軍曹に対する軍法会議では、手紙が裁判の証拠として使われることになる。軍法会議は依然結了しておらず、本案件に関する証拠についてコメントできない」と述べている。

ジェンキンス氏の名前が注目を浴びることになったのは、2002年に日本人の北朝鮮拉致被害者が帰国して以来である。ジェンキンス氏は、1978年に母親とともに拉致された曽我ひとみさんの夫君である。請願書形式でまたはインターネットで集めた署名はブッシュ大統領、ラムズフェルド国防長官やブラウンバック上院議員に送られる予定だという。読売新聞の報道では、曽我ひとみさんは署名活動のことを知って、夫の救出を支援してくれる米国民に深く感謝していると語ったという。

ジェンキンス氏の失踪以来、米国政府はジェンキンス氏を逃亡兵として取り扱ってきた。だが、当時のジェンキンス氏の状況から考えると、裁判も行われないまま脱走兵として有罪を宣告されているジェンキンス氏もまた拉致被害者ではないかとハイマン氏は主張している。ジェンキンス氏に対する恩赦は、日本政府と曽我ひとみさんからたびたび提起されてきた。今月初め、曽我ひとみさんがべーカー駐日米大使と会談した際に、家族そろって日本で暮らせるようにと恩赦への助力を要請したが、べーカー大使は要請を本国政府に伝えると約束するにとどまっている。

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上記の抄訳は、ハイマン氏と昨年からメールのやり取りをしている安田によるものです。

STARS AND STRIPES
「星条旗新聞」米軍の準機関紙で、郵送で購読できる日刊紙。日本の新聞では十分カバーできないコソボや東ティモール、中東などのホットな話題、在日米軍を含め世界に展開する米軍の活動、米国の国防政策などが掲載されている。六本木に日本支社があり、星条旗通りの名前はそれに由来する。

 


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